チラシやイメージ図などの画像を作るのに便利なwebサービスとして、Canvaというものがあります。
無料でも使えるので、使っている方も多くいるかもしれません。
ですが、それに対抗するサービスがAdobeから提供される事になりました。
今回はこのサービスについて見ていきましょう。
Canvaは何が優れていたか？
Canvaは、テンプレートを選んでカスタマイズするだけで、それなりに高いクオリティの図が描けるため、専門家でない方でもチラシやホームページ用の素材を作る事が出来ます。
デザインの専門家である我々でも参考にできるレベルの画像が作れる優れたツールです。
パソコンで使う場合、web上で動作するため、ソフト（アプリ）のインストールが不慣れなデザイナーであっても、問題なく使える点もメリットでしょう。
もちろん、動作速度的にも問題ありません。
本気を出してきたAdobe
デザインの専門家の間では、デザインに使うツールと言えばAdobeのツールが良く使われます。
ですが、Canvaと併用となると、利便性が若干損なわれます。
その場合、デザイン初心者の動向が問題になります。
大きな会社で社員教育をしているなら、Adobeのツールを使う前提で進むでしょう。
ですが、フリーランスやSOHOだと、Canvaのような使いやすいツールに流れてしまうかも知れません。
ましてや、初心者でもビジネスで使えるレベルのデザインが出来るツールがあるなら、経験を積んで初心者を卒業しても、ずっとそれを使い続ける事もあるでしょう。
まさにCanvaがそういうツールなのです。
弊社も小さな会社のため、Canvaを愛用するスタッフもいました。
ですが、このような状況、Adobeにとっては座視して良い状況では無いでしょう。
エントリーレベルのユーザーを制しないと、将来の顧客を失う事になりかねません。
そうして対抗製品が登場する事になったのかもしれませんね。
Adobe Express（Beta）の画面がCanvaそっくりに
Adobe が最近公開した「Adobe Express（Beta）」が、このエントリーレベルのユーザーを掴むツールではないでしょうか。
そのユーザーインターフェースはCanvaそっくりになっています。
簡単な操作でハイレベルな図を作れるという機能も同様に備わっています。
そして、Adobeが提供するだけに、他のAdobeツール（Photoshopやillustratorなど）との連携もやりやすくなっています。
今までCanvaを使っていた方々でも、スムーズに移行できると思います。
CanvaとAdobe Express（Beta）の料金の比較
Canva(年額)
| Canva Free | 0円 |
| Canva Pro | 12,000円（税込） |
| Canva for Teams | 18,000円（税込） |
Adobe Express（Beta）
| 無料プラン | 0円 |
| プレミアム | 10,978円（税込）※ |
※アドビCCの利用者はプレミアムを無料で利用できます。
高い事で有名なAdobeにしては、攻めている（安い）料金設定ですね。
なお、Adobe Express（Beta）には後述する画像生成AI「Adobe Firefly」が組み込まれていますが、上記価格はFireflyの利用料は含まれていません。
Fireflyも基本的には無料になると推測されていますが、高度なサービスを提供するエンタープライズ版は有料になると思われます。
そちらを利用する場合は、Fireflyの利用料が追加されるので、ご注意ください。
ExpressもFireflyもベータ版です。
正式時までに料金やプランの状況はどう変わるか判らないので、Betaが取れて正式サービスが開始された後に、改めて確認すると良いでしょう。
画像生成AI Adobe Fireflyが使える（現在は英語だけ）
テキストで画像生成
Adobe Express（Beta）には、「テキストで画像生成」という項目があります。
ここには画像生成AI Adobe Fireflyが組み込まれています。
現時点では英語しか理解できないですが、文章を元に画像生成してくれます。
試してみましょう。
……英語でいきなりは大変なので、google先生に翻訳してもらう事にします。
「都市の上を飛ぶ宇宙戦艦」
「Space battleship flying over the city」
あっという間に４枚の画像が生成されました。
テキスト効果
テキスト効果という機能を使うと、見出しなどで使う装飾された文字も作れます。
同じくやってみましょう。
「古代遺跡風」
「ancient ruins style」
かなり読みにくいですね。指示にもセンスが求められます。
クイックアクション
上記の２つの機能も含んでいますが、他にも「背景を削除」というレター作成などで便利な機能があります。
トップに載せる画像を作るときなど、人物を残して背景を削除し、別の画像と組み合わせるという操作を行うのですが、この背景の削除は以前はPhotoshopで「ちまちま」と時間をかけてやっていた操作です。
それが一瞬で出来ます。
作ったAIのリスクもAdobeが負担してくれる
AIが画像を生成と聞くと、付いて回るのが著作権問題。
学習元データとの関りで、著作権侵害になるというリスクが心配されます。
商用利用するとなると、そういうリスクがあると使うのにも二の足を踏んでしまいますね。
ですが、Adobe Firefly では学習元データとして、著作権に問題が無いデータのみを利用していると発表されています。
なので、Adobe Express（Beta）でAdobe Fireflyを使って生成した画像でも、著作権に問題は無いと考えられています。
さらに、Adobe Fireflyについては、正式版になった際に提供が予定されているエンタープライズ版では、生成された画像で訴訟を起こされた場合には、全額補償する事が計画されているようです。
社内に法務部門があるような大きな企業の場合、「考えられている」レベルでは採用できないためかも知れません。
まだベータ版で料金も発表されておらず正式提供までは時間がありますが、提供された際には、補償内容と料金をチェックすると良いでしょう。
クリエイターにとってAdobe Expressは必須のツールに？
初心者でも便利に使える機能を持ち、安心して使えるAI機能、時短になる機能などを持つAdobe Expressが正式提供されれば、専門のグラフィックデザイナーはもちろんのこと、絵描きではない他の分野のクリエイターにとっても注目のツールでしょう。
なにしろ無料プランもあるのです。
アマチュアからプロまで必須のツールになるかも知れません。
前述のCanvaを愛用するスタッフも、Adobe Express（Beta）に移行すべく機能のチェックを進めているそうです。
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