ホームページに構造化データを埋め込むことで検索エンジン対策になる? その仕組みについて紹介

SEOを進める上で重要な事の一つに「グーグルなどにホームページの内容や構造を正確に知ってもらう」というものがあります。

検索エンジンは検索ワードに合致するサイトを選んで表示します。

では、合致するかどうかはどうやって判断しているでしょうか。

サイトに記載されている内容を分析しているのですが、機械が行う事なので、どうしても不完全な所が残ります。
そこで、検索エンジンに共通するフォーマットでサイトの内容について教える方法が考えだされました。

その最新のものが構造化データを利用した方法です。

旧来の方法

SEOに関心のある方なら、メタタグという言葉を聞いた事があると思います。
10年ひと昔と言いますが、ITの世界なら10年で大昔ですね。
「ふた大昔」くらい前に戻ると、このメタタグでサイトの内容を判断していました。

ですが、メタタグの内容と実際のサイトの内容が乖離しているケースが増えたため、その後重要性は低下しました。

SEO対策と称して、検索ヒットさせるために無関係なワードを詰め込む事が横行したためです。

そのため、以降はサイトの全文を取り込んで解析するという方法に移行しました。

なぜ今新しい方法が?

全文を解析するなら「嘘が書かれているかもしれない」別の情報は要らないように思えますね。

ですが、検索エンジンも検索結果に新しい情報を追加しようとしています。

一例を挙げると、パンくずリストの情報を取得してそれを表示する事で、ユーザーの利便性を向上させようという試みなどがあります。

パンくずリストの例

では、この「パンくずリスト」はどうやって認識すれば良いでしょうか。

パンくずリストの実現方法は一つではありませんし、グーグルなどが「こういうフォーマットで記述せよ」というように決めるのも、あまり好ましくありません。
新規作成のサイトならともかく、既存のサイトではデザイン上うまく合わせられない事もあるでしょうし、合わせるのに大きなコストがかかっては普及もしません。

それに、追加したい情報(検索エンジンが取得したい情報)は他にも「ページの用途」など色々ありますので、各々が独自の方法を定義してしまっては、利用されないでしょう。

そこで、検索エンジンに「このページの***はこうです」というのを伝える方法が考案されました。

以前メタタグに頼っていた時代と異なり、今は全文の内容も把握していますので、無関係な事(ページに記述の無い事)が記載されていれば、それを見つけてペナルティを付ける事も出来ます。

そういう意味では、一時期は「意味がない」とされていたメタタグも、現在では復権とまではいかないまでも、ある程度利用されているのはSEOに携わる方なら、気づいているかと思います。

新しい方法はschema.orgが用意

以前はHTML自体を書き換える必要があるなど、手間のかかる方式が使われていましたが、近年グーグルやマイクロソフトなどが共同で構造化方法として採用した方式は、手間を軽減しています。

それがschema.orgで定義された「JSON-LD」と呼ばれる方法で、既存のHTMLを触ることなく、スクリプトの定義で、構造化データを記述します。

そういう背景があるため、この記述は以下のように始まります。

<script type="application/ld+json">{
"@context": "https://schema.org",

どんな情報を扱っているのか

どのような情報を記述するかですが、実はパンくずリスト以外にも色々とあります。
グーグルが用意しているドキュメントを見てみると、意外と細かい事が判ります。

Google 検索がサポートする構造化データ マークアップ
https://developers.google.com/search/docs/appearance/structured-data/search-gallery?hl=ja

中には一見すると同じものがいくつもあるように見える事もありますが、同じではなく、細かい違いがあります。

例 よくある質問/Q&A/教育向け Q&A

  • よくある質問
    サイト運営者(管理者)が質問と回答の両方を掲載しているサイト
  • Q&A
    1つの質問に対して複数のユーザーが回答を送信できるサイト
    つまり、回答を書いているのは一般ユーザー。
    さらに、通常は質問もユーザーの投稿ですね。
  • 教育向け Q&A
    一般的な問題解決のためではなく、学習用途として定義されているものです。
    本記事執筆時点では英語のみの対応ですので、多くの方は利用する事は無いと思います。

同様に、似ていても用途が全く異なる情報もあるので、注意が必要です。

サイトに求人情報を掲載する事はよくありますが、求人情報で使う情報は「求人情報」です。ところが、似たようなものとして「給与推定額」という情報もあります。

通常は「求人情報」を使うのですが、利用に当たっては定義について非常に厳しい制限があります。求人の説明が定義に忠実になっていないと、不完全であるとしてペナルティの原因となります。

たとえば、金額に幅があるなら、最小値と最大値の両方を記述する必要があります。
「時給1,200円以上、評価により増額」とか「月給最大40万円の支給実績あり」といった、一方しか情報がない書き方のページでは、両方を設定できないため、不適切となります。

金額の記載はオプションなので、両方を書きたくない場合は省略すると良いでしょう。ただし、検索エンジンから見れば、給与金額は不明として扱われる事になります。

一方「給与推定額」はどういう時に使うのでしょうか。

サイトの構成によっては、会社情報でリクルート情報の一環として「大卒初年度200,000~240,000円」といった記載をする事もあるかと思います。
情報がこれだけで、勤務地や待遇に関する情報が掲載されていないような場合は「求人情報」が求める定義としては不十分なため、「求人情報」を指定する事はできません。

「給与推定額」はそういった時に使うと良いでしょう。

「COVID-19 に関するお知らせ」のように現在開発中の情報もありますので、今後も増える事が考えられます。

どんな効果があるのか

検索エンジンに情報を伝える仕組みなのは判ったとして、それがSEO上どんな効果があるのでしょうか。

順位が上がる?
目立つ表示になる?

実のところ、これらはSEO研究者の間でも意見が分かれており、正しい答えは検索エンジン側、つまり多くの場合グーグルしか正解を知りません。

実施するにはコストがかかりますから、効果が無ければやる意味がありませんよね。

表示に関しては情報が検索結果表示に利用される事があります。
目立つかどうかは別として、1行でも2行でも表示内容が増えれば、好ましい効果があると言えるかもしれません。
競合他社が未対応なら、差別化としても有効です。

なお、サイトの種類によってはページビューが減る事があるそうです。

クリックする前に「探しているものでない事が判る」あるいは「答えまで判る」といった事があるためのようです。
ただ、直帰率が下がったりコンバージョン率が上がるといった事はあるもしれません。
直帰率が下がるのは、SEO上好ましいので、ページビューが減る事は一概に悪い事とは限りません。

今後の検索エンジンの機能改善で、より活用範囲が広がる可能性もあるので、新規サイトはもちろんのこと、既存サイトでも構造化データの積極的利用を進めるべきと思います。

使ってみたけど変わらない?

現状では検索結果での利用も限定的のため、構造化データを追加しても変化が見られない事もありますが、検索順位はともかく、検索結果にも変化が無い事も多々あります。

当然の事ですが、正しく追加されていないと検索エンジン側は情報を認識できません

以前よりも手間が減ったとはいえ、構造化データを正しく追加するのは簡単ではありません
そのため、2つのツールが利用できます。

1.生成ツール

ワードプレスなどのCMSを利用していれば、SEO用のプラグインに「JSON-LD」を利用した構造化データの生成機能が搭載されていることがあります。
また、通常の静的HTMLで作られたサイト用に構造化データを生成するツールも提供されています。
以下はグーグルが提供しているツールです。

構造化データ マークアップ支援ツール
https://www.google.com/webmasters/markup-helper/

他にも提供されているものがありますので、自分に合ったツールを探してみるのも良いでしょう。

2.テストツール

構造化データに誤りがあれば動作しないので、誤りがあるかどうかを確かめる手段もあります。
これもグーグルからツールが提供されています。

リッチリザルト テスト
https://search.google.com/test/rich-results?hl=ja

十分かどうかは教えてくれません※が、エラーがあれば教えてくれます。

ページが「記事」のページで、「記事(Article)」に関する構造化データが入っていなくても、「利用していない」と指摘する事はありません。
そもそも、それが出来たら構造化データは必要無い訳ですが。

実のところ、現時点では正しく入っているからと言って、必ず利用される訳ではないため、エラーが無くても検索結果表示に変化が無い事は普通にあります。
ですが、改善も進むでしょうから、今のうちに対応しておくのが良いでしょう。

まとめ

  • 構造化データはサイトの情報をより正確に検索エンジンに伝える手段
  • 情報によっては、検索結果にも表示される場合があり、差別化になる
  • 単なる文章ではないため、正確に記述する必要があり、項目も細かい
  • 生成ツールで作ったり、テストするツールも用意されている
  • 発展途上であり、必ず効果がある訳ではない

制作・テストのツールがあっても、難しいと感じる場合はホームページ制作会社に依頼するのも手です。
もちろん、以前どこかの制作会社や個人に作ってもらったサイトであれば、その会社や作ってくれた方に依頼するのが一番容易な方法かと思います。

ただ、諸般の事象で依頼できない事もあるでしょう。
そういった場合は、弊社がお力になれるかも知れません。

特にサイト自体が古い場合は、構造化データの追加だけでなく、リニューアルまでした方が良いケースも考えられます。

ホームページのリニューアルに関心のある方は、ご相談ください
ディーエーオーでは豊富な経験と最新知識から、お客様に最適なリニューアルをご提案いたします。
もちろん、構造化データの追加だけをお考えの場合でも大歓迎です。